Action活動レポート

「農泊と観光 」~4章:これからの農泊~

元々、農泊を含むグリーンツーリズムは都市住民の滞在型余暇活動の中心的な行動とした西欧諸国の発想であった。週単位での年次有給休暇制度が確立し、バカンス法が成立していく過程の中で広がっていった。活動の具体的な内容は、静かな環境の中での休養、野生動植物の観察、ウォーキング、遺跡・文化遺産の探訪、カントリースポーツ(乗馬、ゴルフ、狩猟、釣りなど)で、加えてストレス解消のための農作業や子どもたちの自然体験などが含まれる。長期休暇の滞在先はリゾートホテルではなく普段着のままで気軽に利用でき、宿泊代がリーズナブルな農家民宿が中心となり、この快適な農家民宿の存在が西欧諸国のグリーンツーリズムを支えてきた。

その過程の中には長期休暇であるバカンスの社会的慣習化に伴い、自然発生的に普及してきたが、1980年代の西欧諸国の農政転換、欧州共同体(EC)の共通農業政策(CAP)の見直しとともに行政支援の対象となったことで大きく転換してきた。日本もそうであったように生産過剰対策、休耕措置などを講じる中で低下した農業所得の補償などから生まれた新たな所得を自ら生み出す可能性のある政策となった経緯がある。イギリスでは1988年の「農業経営多角化補助事業(The Farm Diversification Scheme)」で具体化され、農村地域へ農産加工、木工、工芸、さらには農村観光の振興を図るというものだった。これらに加えて、「ファーム・ステイ・ユーケー(Farm stay UK)」を代表とするグリーンツーリズムの支援ネットワークが組織され、宿泊滞在者受入のマニュアル作り、マーケティングやプロモーションにいたる支援を進めてきたことで組織的に地盤を築いてきた経緯がある。6

 日本においても全国的な広がりを見せはじめ、農泊を中心としたグリーンツーリズムではあるが、農山漁村ならではの課題がある。やはり、少子高齢化、人口減少問題である。これまで取り組みを積極的に行ってきた人々は多くが高齢者。幾年取れば後期高齢者となり、体力的に継続が困難となる。農家民宿の場合は、他人を家に泊めさせることから、整理整頓、清掃から夕朝食の準備に接客サービスなど。肉体的にも精神的にも負担が大きく、長期間にわたっての継続は厳しい。現実的にその後継となるべき子どもたちは都市部へ流出しており、農山漁村の生活を受け継ぐ意思はないと聞く。現に吉備中央町でもこの2年間で2軒が休業状態に陥った。

また、着地型商品の開発、流通・販売の観点からいえば、地域一帯となったコンテンツの開発やサービス内容の統一化、旅行会社やコンテンツ販売サイトなどとの契約や交渉は個人で行なうのは厳しく、組織的に持続可能な体制のなかで進めてゆく必要がある。幸い吉備中央町は前述の株式会社Kibilyの存在があり、今は町役場が担っている農泊基盤整備事業を早期に引き継いでゆくことが必要である。DMOは地域の観光の推進役としてプロモーションのみに終わらず、地域のコンテンツや地域の特産品の開発・販売などで堅実に収益をあげることで地域と一体化し、新たな収入源や職域の拡大を図ってゆく持続的な活動を必要とする。