Action活動レポート

「教育旅行の未来」~第1章:はじめに~

学校教育において誰しもが経験したことのある行事が修学旅行であろう。修学旅行は体育祭や文化祭などに並ぶ、生徒が参画し、実施・運営も自発的に行うモチベーションアップの大きな要素であり、学校生活おいては貴重なビッグイベントである。

修学旅行の教育的位置づけは「高等学校旅行学習指導要領」および「小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について(通達)」により下記のように規定されている。

高等学校学習指導要領(文部科学省告示第58号 平成11年3月29日)¹⁾によると、第4章特別活動の第2内容、C学校行事の(4)旅行・集団的宿泊行事に「平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむと伴に、集団生活のあり方や公衆道徳などについての望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと。」とある。また、小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行について(通達)(文初中第450号 昭和43年10月2日 初等中等教育局長から都道府県教育委員会、知事、付属学校を置く国立大学長、国立高等学校長あて)では、1項に遠足・修学旅行の計画と実施。4項に、実施中および事前事後の指導については、特に次の事項に留意してその徹底を図ること。

  • (1)遠足・修学旅行の実施のねらいや指導内容をできるだけ平常における各教科等の指導に関連づけること。
  • (2)自然保護や文化財尊重の態度を育成すること。
  • (3)集団の秩序を乱したり、他の人の迷惑になる行動をすることのないように指導すること。また、集団行動や共同生活の体験をとおして望ましい態度や習慣を身につけること。
  • (4)事後指導として、実施中における学習や行動について、児童生徒に自己評価させる機会を設け、実施の成果をじゅうぶん生かすようにすること。と規定している。

これらの規定は教育現場の延長線上、校外授業としての体験を中心とした学習効果を狙ったものだ。旅行中の限られた時間の中で道徳心や、環境保全、自然愛護、文化財への尊重など学校ではできないことを求めたうえで、共助の精神も育みたいとしている。

例として岡山県立西大寺高校の修学旅行の栞²⁾には目的として、①団体行動を通じて社会性・公共心・責任感を養うと共に,高校生活の楽しい思い出をつくる。②事前の調査学習により情報収集能力,企画能力,物事を積極的に探求する姿勢を養う。と記述してある。

文科省の指導に沿い各学校で表現は違えども、似通った目的の中に学校の意思が伝わる。生徒にとり学校生活で一生一度の行事であり、永く語り継がれる思い出となり、そこで起きたエピソードやストーリーによりその後の進路さえ変えてしまう効果まで持っていると、冨満哲夫氏は2015年の日本修学旅行協会の教育シンポジウムで語っている。³⁾

学習指導要領に基づいた修学旅行が、「今後はどのような方向性を持つのか」をこれまでの歴史と現場の事例を踏まえ、特に高等学校の事例を中心に考察してゆく。

【引用文献】

1.文部科学省ホームページ (2020.8.20.閲覧)

www.mext.go.jp/

2.岡山県立西大寺高等学校HP (2020.8.20.閲覧)

www.saidaizi.okayama-c.ed.jp/wordpress/

3.公益財団法人日本修学旅行協会「教育旅行2015.11月号」pp.12(2015)