Action活動レポート

「教育旅行の未来」~第5章:まとめ~

本稿では、教育旅行が今後はどのような方向性となるのかを考察した。3章の事例のように基本は生徒の自主性と積極性がベースとなる。しかしながら、教育旅行はあくまで一連の学習の延長線上にあり、単に個々の課題解決のためのものではないことを確認しておきたい。生徒の能動的な活動を引きだすためには事前・事後学習の中に地域との協働を意識し、地域の実態を把握したうえでの比較検討をする体験が必要であり、その体験を通して一般化・普遍化されることでその生徒の「生きる力」となり、それが「深い学び」につながる教育旅行になると考える¹¹⁾。2023年には高校普通科課程の改変が行われ、「学際融合(仮称)」と「地域探究(同)」が加わることになった。この流れの中でSDGsや地域探求の要素を加味しながら生徒自身の未来を創る教育プログラムであることが求められている。

なお、わが国の商業高校では今回の学習指導要領の改訂で「観光ビジネス科」が新たに正科となった。この際、この教科で自分たちの教育旅行を自分たちで企画し、予約し、旅行代金の清算、運営・実施するまでやってみてはどうだろう。校内で旅行会社を起業し、生徒が旅行業務取扱管理者として運営するような実践的なビジネスを学ぶこともできる時代となったのではないだろうか。持続可能なツーリズムとするためには、次世代を担う人材教育が最も必要とされる。座学のみならず、実践する教育によって私たちの後継者を育成してほしい。

【引用文献】

⒒公益財団法人日本修学旅行協会「教育旅行 2018.11月号」pp.22(2018)

コントリビューター:折本 浩一教授(国際観光ビジネス学科)